ミラクル三次(みよし) ( 準々決勝 瀬戸内対三次 準決勝 広島工対三次 )
広島県立三次高校は県北の学校だ。2005年には最速球が125㎞ぐらいのアンダースローの二人の投手を継投して少ないチャンスを確実にモノにしていくという昔ながらの広島県らしいチームとして夏の県予選に臨んだ。
20人に満たない部員、とくに目立った好投手も強打者もいないし ベスト8までいけば万々歳だろう思っていた。
2005年は春の中国大会を征した藤川、吉川(日本ハム 巨人) のいた広陵 春の準優勝校 国泰寺 選抜に出場した如水館 好投手のいる広島工 バランスのいい瀬戸内 総合力の高い広島商などが優勝候補に挙げ
られていた。
特に 広陵と如水館の評価が高く 組み合わせ前は 決勝では 広陵 対 如水館になるのではないかと誰もが思っていた。事実自分もそう思っていた。下馬評に、三次の名前を挙げる人はいなかったし
実際にそれほど勝ち上がっていくとは思わなかった。
この大会は 二回戦で選抜出場の如水館VS広陵が実現した。この試合が事実上の決勝戦だと多くのファンは思っていた。
7月17日 日曜日 暑い日だった。日曜日と好カードが重なり、たくさんのお客さんが詰め掛けていた。 試合は広陵の重量打線が、序番から爆発して 選抜で福岡の東筑学園で粘りの投球をみせ競り勝った如水館
政岡投手が滅多打ちにされてしまって15‐8でコールドゲームになってしまった。この試合は広島市民は、イレギュラーが多く如水館の政岡投手には気の毒だった。
さて、大会は進み8強に名乗りを挙げた学校は 広陵、広島工、高陽東、瀬戸内、賀茂、広島国際 広島工高 そして三次
そして、準々決勝は 広陵は賀茂に 広島工は広島工大高に 高陽東は国際学院にそれぞれ勝ち、三次は甲子園出場経験のある瀬戸内と試合に臨んだ。
テレビをつけたときは3回の裏 瀬戸内0-0三次 瀬戸内の延江( のぶえ) 投手が好調に飛ばしていた。夕方に差し掛かっていて雲行きが悪くなり今にも振り出し
そうな空模様になった。
5回瀬戸内が3点を挙げ、試合は瀬戸内ペースで進んでいきこのままかと思ったとき三次は反撃に出た。三次は、ノーアウト満塁からヒットヒットでつなぎ一気に6点を
挙げた。ところが6回の裏 雷を伴う大粒の雨が降り出しノーゲーム嫌な予感的中した。
駒大苫小牧対倉敷工戦を思い出していた。
第四試合だったので 試合は明日の午後遅くから再び行われることになった。仕切りなおしで始まった再試合 三次は 3‐3で迎えた9回の表に 適時打が飛び出し2点とって、なおも
ランナー三塁 スリーバントスクイズが決まって、強豪瀬戸内をなんとか6-3で振り切った。
勝因は渡辺‐東の両サブマリン投手の継投と 堅守だった。
この試合は午後のニュースで三次の健闘ぶりは大きく取り上げられた。次の相手の広島工の大会屈指の好投手 広島工の市田投手が 次々と優勝候補を倒してきているので 油断できないと言っていたの
に対して、三次の森島主将は無欲で闘うつもりです と相手に胸を借りるつもりという意味のは発言をしていた。
さて、迎えた準々決勝の 広島工戦 案の定 安定した投手力 堅い守り 隙のない攻撃 さすが名門校だけあって試合は広島工ペースではじまった。5回に ヒットで出たランナーをおいて控え投手の背番号11渡辺が
左中間にスリーベースを放ち逆転する。しかし、スコアは2‐1で三次が勝っていたが事実正直なところ よく2‐1で抑えているよな という感じの試合だった。
そして 言っては失礼だが、背番号1の東投手は こんな遅い球でよくここまで勝ち上がってきたな というのが正直な感想だった。
それぐらい三次はよく守っていた。しかし、7回に 逆転されてしまったときには試合の流れから広島工に完全に行ってしまったかと思った。 試合は8回に、さらに増す広島工の猛攻 ところがこういう悪い流れを断ち
切るのはファインプレーだ。まずはセンター あれをまさか・… というほどの奇跡的な横っ飛びのキャッチに観客は一気に沸いた。そして 次はキャプテンでライトの森島選手がライト前に落ちそうか
という打球を突っ込んでダイビングして取っていた。
勢いに乗った三次は、8回の裏相手のショートの2塁ベースへの送球ミスに付け入り、執念の同点ホームを踏んだ。
試合は9回の裏の三次高校の攻撃はあっけなく2死になり 両校の選手はかなり疲れ切っている感じで多くのファンは延長戦を覚悟した。キャッチャーの木屋選手がバッターボックスにゆっくりと入ったのが印象的だった。
木屋選手の打った打球は鋭い金属音とともに 青空を仰ぐようにどんどんレフトスタンド向かって飛んで行った。一瞬の出来事だったので、応援団がサヨナラホームランであることに気がついたときには、三次ナインが全員グランド
に飛び出していて 木屋選手は揉みくちゃになっていた。 ここに三次高校43年ぶり 決勝戦に駒を進めることが決まった。